サイネージ広告に向いている業種はあるのか|媒体側の想定が外れた出稿事例4つ

「うちの業種で街頭ビジョンに出して、意味があるのか」。出稿を考え始めた人が最初に突き当たる問いです。街頭ビジョンの広告は、アイドルやライバー事務所、駅前の飲食店やクリニックのもの、という像が先に立ちます。都内5拠点を運用するミチビトの担当者自身も、事業を始めた当初はそう想定していました。ところが実際に契約が入ってきたのは、飲料水、Tシャツ、建築資材、そして広告代理店そのものといった、想定の外にある業種でした。この記事では、その4つの出稿を手がかりに、「向いている業種」という線引きがどこまで当てになるのか、業種の代わりに何を見ればいいのかを整理します。
◆この記事のポイント
- ✓サイネージ広告に向いている業種は、媒体側が想定していたより広いものです。都内5拠点を運用するミチビトでも、飲料水、Tシャツ、建築資材、広告代理店そのものといった想定外の業種の出稿が続いています。
- ✓出稿の内訳は無形と有形でほぼ半々です。無形はライバーやアイドル系が6〜7割、有形は飲食店が約半分を占め、そこに数を売る商品やBtoBの会社が加わっています。
- ✓向き不向きを分けるのは業種より、1〜2秒で何の広告か伝わる動画にできるかと、何をもって成功とするかを決めているかの2つです。業種で自己判断する前に、この2つを確かめてください。
「向いている業種」は、媒体側の思い込みでもあった
ミチビトは渋谷センター街・歌舞伎町・高田馬場・新大久保・三軒茶屋に街頭ビジョンを持ち、常時20〜25社ほどの広告主が継続して出稿しています。担当者が事業を始めた当初に思い描いていた広告主は、ライバー事務所やアイドル事務所、ビジョンの近くにあるクリニック、そして飲食店でした。街で流す映像だから、街に来る人を相手にする商売が出すもの。そう考えるのは自然で、今もこの3つは主力です。
出稿の内訳を見ると、無形の商品と有形の商品がほぼ半々になっています。無形はライバーやアイドル系が6〜7割を占め、残りが資産運用やマッチングなど。有形は飲食店が約半分で、残りがクリニックなどです。ここまでは想定どおりの顔ぶれと言えます。
当初の想定に収まらない契約が、続けて入りました。媒体側の担当者が、アプローチをかけたことすら無かったと言う業種です。向いている業種の線引きは、出す側だけでなく媒体側にもあった。この記事はそこから始めます。
想定が外れた4つの出稿
- 業種
- 飲料水/Tシャツ/建築資材(タイルの剥落防止)/広告代理店そのもの
- 媒体側の当初の想定
- ライバー・アイドル事務所、近隣のクリニック、飲食店
- 担当者の受け止め
- 「完全にB2Bでニッチな会社が平気で入ってくる」
飲料水とTシャツは、ネット広告で数を売るのが普通の商品です。担当者は当初、こうした商品は数字の取れるネット広告で完結し、街頭ビジョンに来る理由が無いと考えていました。建築資材は、地震のときに外壁のタイルが剥がれ落ちて通行人が怪我をしないようにする製品を作っている会社で、担当者の言葉を借りると「完全にB2Bでニッチな会社」です。その会社の映像を見たとき、こんなところにアプローチをかけたことは無かった、と担当者は振り返ります。4つ目は広告代理店そのもので、冒頭でインパクトを置いて引き付け、「広告まわりは全部やれます」と締めくくる、ショート動画に近い作りの映像でした。
契約できる相手を、自分の中で勝手に狭めていたんだなと思いました— 鍵森将(株式会社グレイド 執行役員/サイネージ広告事業 責任者)
4つに共通しているのは、「街に来る人を相手にする商売」という枠に入っていないことです。ネット通販で売る商品も、建設会社に納める資材も、広告主の集客を請け負う代理店も、街頭ビジョンの前を歩く人と買い手が直接には重なりにくい。それでも出稿は入り、外れたのは担当者の側の線引きでした。
なぜ「数を売る商品」が街頭ビジョンに来るのか
担当者の見立てはこうです。数を売る商品は、リスティングなどのネット広告で数字を取るのが本筋で、代理店はそこに単価の安いサイネージを認知の面として束ねて提案している。ネット広告で獲得を、街頭ビジョンで認知を担い、合計でこれだけの数字を出す、という組み立てです。飲料水やTシャツが街頭ビジョンに来た背景には、代理店の営業力に加えて、この組み立ての中にサイネージが入る余地がありました。
余地を作っているのは価格です。街頭ビジョンの業界平均は、ミチビトが保有するものと同じサイズ帯で揃えると1ヶ月あたり100万円前後になります。ミチビトの渋谷は年契約で月23万円、業界平均の約1/4です。最安は月7.5万円〜(三軒茶屋・1年契約、30秒枠)。この価格帯なら、ネット広告の予算の一部を認知に振り分ける判断が成り立ちます。費用の内訳は街頭ビジョン広告の費用相場にまとめました。
◆街に出ていること自体を価値にする型
建築資材の会社のように、買い手が街を歩く人と重なりにくい業種では、放映の先に来店や問い合わせを数えるより、街に自社の映像が流れている事実そのものを価値に置く出し方が合います。企業紹介や会社案内の出稿がこの型です。担当者の見方は、「テレビを見ない世代が増えた分、街で流れているというだけで『すごい』と思われる余地がある」というもの。ミチビトの契約は半年〜1年が多く、繰り返し目に入ることで認知が積み上がります。
業種より先に見る2つの条件
4つの出稿を経て、担当者が「向いている業種」の代わりに見ているものは2つあります。1つは動画、もう1つはゴールです。どちらも業種を問わず効きます。
条件1|1〜2秒で「何の広告か」が伝わる動画にできるか
街頭ビジョンは、駅前や待ち合わせの「ながら見」で見られるものです。15秒でも通しで見る人は少なく、1〜2秒見ただけで何の広告か分かる情報量に絞る必要があります。業種が何であれ、ここを外すと「結局何のCMだったのか」で終わる。逆に、ニッチなBtoB商材でも、1〜2秒で伝わる映像に絞れば街頭ビジョンで流す形になります。動画の組み立ては30秒サイネージ動画の作り方で解説しています。
数を売る商品を、街頭ビジョン向けに組み替えた例があります。誰の目線で伝えるかを変えただけで、動画の印象が変わりました。
- 商材
- 体の線が透けないよう工夫した男性向けのTシャツ
- 変更
- 男性ナレーション → 女性ナレーション(媒体側の提案)
- 理由
- 悩みは男性のものだが、気にしている相手は女性の視線
- 結果
- 「印象が明るくなった」。売上・問い合わせの変化は未計測
動画の構成は、「あなた、それ見られていますよ」という問題提起から入り、商品が防ぐことを示し、汗ジミの少ない繊維などの機能を説明して、購入先で締める形でした。ここで担当者が提案したのが、ナレーションを男性から女性に変えることです。商材は男性が気にする悩みですが、気にしている相手は女性の視線だから、女性目線の訴求があってもよい、という理由でした。変えたあとの反応は「印象が明るくなった」で、売上や問い合わせの変化までは測れていません。それでも、数を売る商品が街頭ビジョンに来たとき、誰の目線で伝えるかを組み替える余地があることは、この例で分かります。
女性の声については、担当者の経験則がもう1つあります。屋外は人の話し声や他の看板の音、呼び込みが常に鳴っていて、その中では女性の声のほうが耳に入ってくる印象がある、というものです。本人が「経験則であり研究結果ではない」と断っているうえ、クライアントによって変わるので、できれば両方作って合うほうを選んでほしい、とも話しています。
条件2|何をもって成功とするかを、業種に合わせて決めているか
業種が広がるほど、成功の定義は一つに揃いません。ライバー事務所ならファンが撮ってSNSに投稿するまで、企業紹介なら街に出ていること自体、飲食店なら放映のあとに客が来るかどうか。建築資材や広告代理店のような出稿は、来店を数える型より、街に流れていること自体を価値にする型に近いところにあります。担当者の言葉を借りれば、「流すだけなら、お金を払えばどこでもできる。成功はその先です」。自分の業種がどの型かを決めておくと、拠点も動画も決まります。型の分け方はサイネージ広告の成功とは何かに書きました。
拠点は業種ではなく、誰に見せたいかで選びます。予算だけで決めるのは無駄遣いで、ターゲットに合わせて選ぶのが原則です。同じ新宿エリアでも、AGA治療のような中年男性向けの商材なら新大久保より歌舞伎町のほうが問い合わせにつながりやすく、地元に根付いた店なら三軒茶屋のように生活者が毎日通る拠点が合います。エリアごとの違いはサイネージ広告のエリア選びで解説しています。
段取り|自分の業種で出せるかを確かめる順番
- 1業種で自己判断せず、「誰に、何を見せたいか」を1行にする(媒体側の想定も外れた、と知っておく)
- 2成功の型を決める(撮られて広がる/街に出ていること自体/来てもらう)
- 3型に合う拠点を選ぶ(撮られたいなら渋谷センター街、地元に知られたいなら三軒茶屋、のように)
- 4動画は完璧を待たず、70%の段階で一度媒体に送る(審査に出せるかどうかは、ここで分かる)
- 5初稿から放映まで3週間を見る(毎週月曜入稿→翌週月曜放映。月曜を逃すと1週間ずれる)
- 6放映が始まったら、決めた型に照らして見る。合わなければ動画を差し替える(1回2,000円)
4は業種を問わず効きます。ミチビトでは、審査や修正で放映に間に合わなかったことはほぼ無く、詰まるのは広告主が最初の動画を作り込みすぎて完成しないケースです。動画制作の経験が無い会社ほど、完璧になるまで送ってきません。担当者は「70%でいいので一度送ってください」と伝えています。
◆審査は、商材の中身だけでは決まらない
審査で見られるのは、ビルオーナーの意向、条例、クレーム回避の3つです。商材そのものに問題が無くても、ビル内のテナントとの競合で断られた例があります。自分の業種が通るかどうかは、業種名で判断せず、問い合わせの段階で確認してください。落ちる理由と通し方はサイネージ広告の審査基準にまとめています。
まとめ
街頭ビジョンに出す業種は、媒体側の想定より広いものでした。ライバー事務所や飲食店、クリニックを主力としながら、飲料水、Tシャツ、建築資材、広告代理店そのものといった出稿が続けて入り、「契約できる相手を自分の中で勝手に狭めていた」と担当者自身が言うところまで来ています。向き不向きを分けるのは業種より、1〜2秒で伝わる動画にできるかと、成功の型を決めているかの2つです。
ミチビトは渋谷センター街・歌舞伎町・高田馬場・新大久保・三軒茶屋の都内5拠点の街頭ビジョンを扱っています。「うちの業種で出せるのか」という段階の相談からで構いませんので、お問い合わせからご連絡ください。料金の目安は料金プランページ、成功の型の決め方はサイネージ広告の成功とは何か、費用の考え方は街頭ビジョン広告の費用相場にまとめてあります。
よくある質問
Q.BtoBの会社でも、街頭ビジョンに広告を出す意味はありますか?
A.はい。ミチビトの出稿主には、地震のときにタイルが剥がれ落ちて通行人が怪我をしないようにする建築資材の会社が入っています。街を歩く人が直接の買い手になりにくい業種は、来店や問い合わせを数えるより、街に自社の映像が流れている事実そのものを価値に置く型です。契約は半年〜1年が多く、繰り返し目に入ることで認知が積み上がります。
Q.通販で数を売る商品を、街頭ビジョンに出す理由は何ですか?
A.ネット広告で獲得を取り、単価の安いサイネージで認知を補う組み立てで、代理店が束ねて提案している形が多い、というのが媒体側の見立てです。ミチビトの渋谷は年契約で月23万円、最安は月7.5万円〜(三軒茶屋・1年契約)で、ネット広告の予算の一部を認知に振り分ける判断が成り立つ価格帯になっています。
Q.街頭ビジョンに出している業種の内訳を教えてください。
A.ミチビトでは無形と有形がほぼ半々です。無形はライバーやアイドル系が6〜7割で、残りが資産運用やマッチングなど。有形は飲食店が約半分で、残りがクリニックなどです。これに加えて、飲料水、Tシャツ、建築資材、広告代理店といった想定外の業種の出稿が続いています。
Q.自分の業種が審査に通るか分かりません。先に確認できますか?
A.問い合わせの段階で確認してください。審査で見られるのはビルオーナーの意向、条例、クレーム回避の3つで、商材に問題が無くてもビル内のテナントとの競合で断られた例があります。業種名で自己判断せず、動画は70%の段階で一度送るのが早道です。初稿から放映までは3週間を見ておいてください。