サイネージ広告の審査基準|なぜ落ちるのか、通すための3つの勘所【実例つき】

「広告の内容自体は問題ないはずなのに、審査で落ちた」——サイネージ広告では、実際にこういうことが起こります。街頭ビジョンは公共の場に映すメディアなので、テレビCMやWeb広告とはまた違う基準が働きます。しかも基準を決めているのは媒体社だけではありません。この記事では、実際に審査で落ちたケース・表現を調整して通ったケースをもとに、サイネージ広告の審査で何が見られているのか、どう準備すれば通るのかを整理します。
◆この記事のポイント
- ✓サイネージ広告の審査は媒体社だけでなく、ビジョンが設置されたビルのオーナーやテナントの意向でも決まる。商材が合法でも落ちることがある。
- ✓落ちる理由で意外に多いのが「ビル内テナントとの競合」。同じビルの店舗が競合ブランドと契約していると、その競合カテゴリの商材はまとめてNGになる。
- ✓表現の言い換えで通るケースは多い。素材の権利(タレント・テレビCMの転用)は別途確認が必要で、審査と権利確認の両方を見込んで、放映の2週間前には初稿を用意しておくのが安全。
誰が審査しているのか
サイネージ広告の掲載可否は、媒体社(ビジョンの運営会社)だけで決まるわけではありません。街頭ビジョンの多くはビルの壁面や屋上に設置されているため、そのビルのオーナーの意向が強く働きます。さらに、ビルに入居しているテナントの事情まで影響することがあります。
つまり審査は「法律的にアウトかどうか」だけを見ているのではなく、「その場所に映していい広告か」という、場所ごとの事情を含んだ判断になります。ここがWeb広告と決定的に違うところです。同じ動画でも、A拠点は通ってB拠点は落ちる、ということが普通に起こります。
◆審査で見られる3つの層
① 法令・公序良俗(景表法・薬機法など、そもそも出せない表現)/② 表現の受け取られ方(クレームにつながらないか)/③ 場所の事情(ビルオーナー・テナントとの利害)。①②は事前に想像がつきますが、③は出してみないと分からないことが多く、ここが落とし穴になります。
意外な落とし穴:ビル内テナントとの競合
実務でいちばん「まさか」と言われるのが、ビルに入っているテナントの競合にあたる商材が落ちるケースです。広告主から見れば自社とそのテナントは無関係なのに、テナント側の契約関係が理由でNGになります。
- 業種
- 男性向け健康食品メーカー
- 出稿先
- 都内主要駅前のビジョン4基
- 結果
- 2基が審査落ち・2基は掲載
同じ駅前エリアの4基に出稿しようとしたところ、2基だけが審査に通りませんでした。理由をたどると、そのビジョンが付いているビルの1階に大手ドラッグストアが入居しており、その店舗が特定の滋養強壮ドリンクのブランドと直接契約していたためでした。契約ブランドと競合するカテゴリの商材は、まとめて掲載不可という扱いです。商材そのものには何の問題もなく、実際に同じ動画が残り2基では問題なく放映されています。
この手のNGは、広告主側でも代理店側でも事前に予測するのは困難です。だからこそ、出稿先の候補は最初から複数もっておくことが実務的な備えになります。1拠点だけを狙って落ちると打つ手がなくなりますが、複数拠点から選べる形にしておけば、落ちた枠を別の枠に振り替えるだけで済みます。
表現で落ちるケースは、言い換えで通ることが多い
商材やサービス自体は掲載できても、コピーの言い回しが直接的すぎて引っかかるケースがあります。街頭ビジョンは、その広告を見たくない人の目にも入るメディアです。ターゲット以外の通行人がどう受け取るかまで含めて判断されます。
- 業種
- マッチングサービス
- 論点
- サービス内容を直接書いた表現
- 結果
- 表現を調整して掲載
サービスの対象層をそのままコピーに書くと、内容によっては「その行為を助長している」と受け取られ、クレームにつながることがあります。実際に別の広告主が繁華街のビジョンで同種の直接的な表現を出したところ、苦情が相次いで内容変更に至った例がありました。この案件では、サービスの本質は変えずに「新しい出会いに」といった、受け取り手に委ねる表現へ調整することで掲載できています。
ポイントは、「言ってはいけない」のではなく「言い方を変えれば通る」ことが多いという点です。審査に出す前の段階で、コピーを2〜3パターン用意しておくと差し戻しのロスが減ります。ミチビトでは、審査に出す前に表現の当たりをつける段階からご相談いただけます。
素材の権利:テレビCMをそのまま流せるとは限らない
審査とは別に、見落とされがちなのが素材の権利確認です。特にタレントや著名人が出演している映像は注意が必要です。
テレビCMとして放映中の素材であっても、屋外サイネージへの転用には、出演者側の別途許可が必要になるのが原則です。テレビでの使用許諾と、屋外広告での使用許諾は別物として扱われます。実際に、テレビCMに出演中の著名タレントの映像を街頭ビジョンで使いたいという相談があり、事務所に確認をとったうえで許可が下りて放映できた、というケースがあります。「テレビで流しているのだから大丈夫だろう」と自己判断せず、必ず確認を通してください。
◆音楽・BGMも同じ
映像だけでなく、使用しているBGMの利用範囲も確認が必要です。Web用に購入した音源が屋外での商用利用をカバーしていないことがあります。素材を作った制作会社に「屋外サイネージで使う」と明示して確認するのが確実です。
いつまでに用意すればいいか
審査には当然、時間がかかります。ミチビトの場合、入稿は毎週月曜、放映開始は翌週の月曜という運用が基本です。ここに審査と、必要に応じた修正のやりとりが乗ります。
- 1放映の2週間前:初稿を用意して審査に出す(ここが理想)
- 2審査の結果を受けて、表現・素材を調整する
- 3放映週の前の月曜:最終データを入稿
- 4翌週の月曜:放映開始
ぎりぎりに動くと、落ちたときに打ち返す時間がありません。 特に上で挙げた「ビル内テナントとの競合」は事前に読めないため、修正ではなく出稿先の変更が必要になることもあります。キャンペーンの開始日が決まっている場合ほど、余裕をもった逆算が効いてきます。
まとめ
サイネージ広告の審査は、法令だけでなく「その場所の事情」まで含んだ判断です。商材が合法でもビル内テナントとの競合で落ちることがあり、これは事前に予測しづらい。だからこそ、複数拠点から選べる状態にしておくこと・表現の代替案を用意しておくこと・素材の権利を先に確認しておくこと・2週間前には初稿を出すことの4つが、通すための現実的な備えになります。
ミチビトは渋谷センター街・歌舞伎町・高田馬場・新大久保・三軒茶屋の都内5拠点を扱っているため、1つの枠で難しい場合も別の枠でご提案できます。審査に出す前の表現相談や、動画の作り方についても対応していますので、お問い合わせからお気軽にご相談ください。費用感を先に知りたい方は街頭ビジョン広告の費用相場もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q.サイネージ広告の審査は、誰がどのように行うのですか?
A.媒体社(ビジョンの運営会社)が一次的に確認し、ビジョンが設置されているビルのオーナーやテナントの意向も反映されます。法令・公序良俗のほか、通行人にどう受け取られるか、その場所に映してよい内容かという観点で判断されます。
Q.商材が合法でも審査に落ちることはありますか?
A.あります。実例として、ビジョンが設置されたビルの1階テナントが競合ブランドと直接契約していたため、同じカテゴリの商材がまとめて掲載不可になったケースがあります。広告主側からは事前に予測しづらいため、出稿先の候補を複数もっておくことをおすすめします。
Q.テレビCMの素材をそのままサイネージで流せますか?
A.原則として、出演者やタレント事務所の別途許可が必要です。テレビでの使用許諾と屋外広告での使用許諾は別に扱われます。BGMの利用範囲も同様に確認が必要です。制作会社に「屋外サイネージで使う」と明示して確認してください。
Q.審査を見込むと、どれくらい前に準備すればよいですか?
A.放映の2週間前には初稿を用意しておくのが安全です。ミチビトでは入稿が毎週月曜、放映開始が翌週の月曜という運用が基本で、そこに審査と修正のやりとりが加わります。出稿先の変更が必要になる可能性も含めて逆算してください。